
クルーズ人口は世界的な規模で勢いを増しています。
クルーズの最大の特徴としては「リゾート滞在型休暇」であること。
乗船客同士とのコミュニケーションが船上生活での日々の大半を占めるのです。
乗船時、特に食事を摂っている時の最大の話題として掲げられるのがクルーズ料金がある。
どのランクの客室に宿泊して、何処の旅行代理店で予約されたか?、あたどのような特典があったか等が よく話題になります。
乗船客同士で自分が払った料金の価値、そして他人の払った料金との比較や船上の生活やクルーズでの経験と比較することが多いのです。
この傾向は1泊1万円前後のカジュアルクラスのクルーズよりも1泊当たり5万円以上のラグジュアリークラスに顕著に見受けられます。
世界のクルーズ客船の70%はカジュアルクラスですが、乗船期間が短く、船内もかなり広いので、意外と他の乗客との接点を持ちにくいのが大きな理由の一つと言えます。
特に3ヶ月以上の「世界一周クルーズ」など長期のクルーズになると、申し込んだ旅行会社の選択を間違えれば 一人300万円から400万円の料金差が出てくるケースは珍しくないのです。
それに加えて 船上での申し込んだ旅行会社からの「特典」にも大きな差が出る。
料金格差の問題に興味の尽きない華僑は香港の旅行会社で予約したものと、アメリカの旅行会社の料金を比較して明らかにアメリカ側の料金がかなり安いということで船上で次クルーズを予約する時 アメリカの旅行代理店経由に切り替える船客も多いのです。
彼らの言い分によると、香港の旅行会社経由の値段は約20%割高であったという。
彼らも研究しており、クルーズの賢い買い方は、現地アメリカのクルーズ会社に最も近い所に居る旅行代理店には勝てないを知っているのです。
また 毎日交信する必要もないし予約だけの問題であるので「アメリカの旅行会社に限る」と言う。
インターネットの発達により、ほとんどメールだけのやり取りで完結するので、言葉の不自由も感じないのです。
確かにアメリカの旅行会社はクルーズ会社の近くに拠点を持っている。
当然のことです。
特にクルーズ会社出発前の特別割引(クルーズ会社は船室を空けて運航するより少しでも賃収を上げようとする)を提示したり、内容によっては 積極的なプロモーション価格ありつける等対応や特典に柔軟性があるのです。
この中国人船客(華僑)は香港での料金表とアメリカでの料金表を比べ、 「xxドル違う」と指摘してくる。
多くの場合、香港の値段に関しては現地の総代理店が自らの判断で料金を設定。
それを現地の旅行代理店に卸す形となっているので、彼らにとって今のようなインターネットでアメリカにおける“実勢料金”が判る時代には非常に厳しい対応が求められている。
彼らは最初、香港の旅行代理店を通してきた。
しかし2回目から船室の指定なども含めて 中国人が経営するアメリカの旅行会社経由で予約している。
もちろんアメリカの旅行会社としては様々な情報や特典を送付するのは当然のことです。
この様な動きは中国人乗船客のみならず、隣接のカナダや日本人乗船客の間でも見られる。
特に日本から来た船客とアメリカで予約した船客との会話の話題は日々の船上生活のことや料金から始まるのです。
アメリカに於ける日系旅行会社はアメリカに在住する日本人マーケットで仕事をしてきたが、日本の旅行代理店に対してクルーズ会社に最も近い「地と知識の利」を最大限に利用できる所に居ることが最大のメリットです。
(1)日本における料金設定方式などに基づき発生する(同じクルーズに於ける)日米間の料金格差
(2)通信システムの改善<24時間体制・携帯電話等での深夜対応・E-MAILなど>
(3)日本人社員が「日本語」で直接対応。
(4)料金などに関しては アメリカのクルーズ会社と直接の交渉力があり 且つ 迅速性を併せ持っている事等から日本からの船客にも高く評価されるようになって来たのです。
(5) 彼らは 自らのコミッションを船客の方へ「還元する術」を知っており、実はこれは次回のクルーズへの投資と考えているのです(船上レセプション・船上割り引き等など)
その結果 並行輸入的料金(アメリカ料金)を享受した日本人船客が アメリカの日系旅行会社を通して予約するケースが急激に増えてきているのです。
過去に、とある日本人はこのアメリカの日系旅行会社を通してカリブ海のクルーズを予約しました。彼らはグループ6人でクルーズに乗船。
「日米料金格差」で浮いた代金で日本からロサンゼルスまでは日系の航空でビジネスクラスで移動。
ロサンゼルスからはラスベガスで半日観光を楽しんだ後、マイアミまでプライベートジェット (“CITATION X”フライト時間は4時間6人計3万ドル)の旅行を楽しんだと言っていた。
この一例のように よりパーソナリズな旅行形態はますます幅が広がる傾向があります。
このような動きを阻止して、外国籍の乗船客を拒否すべき等と海外の総代理店は抗議してくることがあります。
しかしアメリカにおいては人道的かつ公正取引法的に国籍に基づいた船客の排除は出来ないのです。
その理由は、例えばカナダの乗船客はアメリカでの就労許可を持っている人も多いし、メキシコ船客も 自由にアメリカ国内のラテン系旅行代理店で並行輸入的なチケット購入をしている。
それに彼らの家族がメキシコにも居ればアメリカにもいる。
それがまとまって同じ船で旅行している訳で、人によってクルーズ手配が分断されるような事はクルーズ会社としても望まないのです 。
こうして今後もこのような乗船客がアメリカでの旅行会社経由予約が拡大して行くことは当然です。
特にメキシコ初めラテン系乗船客に関しては、ロサンゼルスやテキサスの主要都市を中心とした「スペイン語」のよるインターネット情報が発信されているのです。
これらの媒体を通しての予約が増えているのです。
特に期間の短いカリブ海クルーズは この恩恵を最大限に受けているのです。
ちなみにカリブ海クルーズの発展の裏には カリブ海の島々やメキシコなどを訪ねるアメリカ人には
「パスポート携帯不要」
の特例があり、メキシコ人のアメリカ入国にも各種の便宜が図られていたのです。
ただ何時も念頭に入れるべきは このアメリカのクルーズは「USドル」を基にした旅行形態です。
クルーズのように予約から乗船までのリードタイムが長いと為替リスクも当然あります。
そのため先の中国人にしても多くは銀行でのドル口座を持った上でアメリカの自国系旅行代理店と接触しているのです。
参考までに日本人が利用しやすいクリスタル・クルーズ社運航の「クリスタル・セレニテイ」によるワールドクルーズを日米料金比較例を紹介します。(単位=USドル)
客室 | 日本A社 | 日本B社 | 船会社割引適用料金 | アメリカS社 |
スイート客室 | 119,565 | 94,970 | 85,473 | |
ベランダ付客室 | 59,833 | 74,435 | 56,915 | 51,224 |
ベランダ無し客室 | 49,833 | 59,583 | 47,290 | 42,561 |
リピータ割引 | 適用 | 適用 | 適用 | 適用 |
航空機利用 | エコノミークラス | ビジネスクラス | 船会社負担
ファーストクラス (スイート客室) ビジネスクラス(他) ※アメリカ基点 |
同左
(個人によって フアーストへ 無料アップグレード) |
最少催行人数 | 12名(添乗員付) | 12名 | ||
特典 | なし | なし | ・自宅送迎
・マイアミホテル1泊付。 ・指定された陸上観光無料(7箇所) |
左掲に加え
(船客別)「独自の追加割引」有り (例:ベランダ付客室5回目乗船に対して1人3,500ドル割引) |
為替レート | 110円 | 110円 |